労働審判を利用しましょう
企業と労働組合との紛争は都道府県労働委員会で調停や仲裁が行われることはよく知られていますが、労働審判は企業と個別の労働者とのトラブルについて地方裁判所で短期間に解決を図るもので、労働審判法により平成18年よりスタートしている制度です。話し合いによる解決と、判定機能である審判との両方の機能を備えているのが特徴です。
話し合いで決まらないなら労働審判員(官)の判断に従え、と審判を下すことができます。審判に従えない場合は2週間以内に異議申し立てを行うことができます。このように、判定機能があることが”労働局紛争調整委員会のあっせん”との大きな違いであり、和解が成立しそうもないときに無理に和解への妥結点を模索する必要がありません。争点が複雑でない労働事件ではある意味終局的な解決手段としての役割を果たしています。
当事者のいずれか又は両方が2週間以内に異議申し立てをすれば、労働審判申立日にさかのぼって本訴訟が提起されたものと擬制され、本裁判となります。ただし、本裁判に進むかどうかは原告の判断によります。
和解の成立の確率は約7割(全国平均)であり、和解に至らず労働審判が下った場合でも約半数は異議申し立てに至らず終結しています。ですから労働審判における解決率は8割である、と言われています。
労働審判において和解に至らず審判が下り、異議申し立てがなされ本訴に至った場合でも、職業裁判官に労働問題の実務に精通した民間人2名を加えた3名の労働審判委員会で評議された審判の内容は、本訴において尊重されることになっているようです。
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弁護士が代理人として出席する場合でも、当事者の出席が必要とされています。目の前でお互いに当事者の主張をよく聞いた上で審判員(官)が上手に調停を図ることで、和解の可能性が高くなっているのです。
現状では、労働審判当事者代理人としては弁護士しか裁判所は認めていません。労働関係各法の専門家として特定社会保険労務士の代理を早急に認めてほしいところです。もともと労働審判は司法制度改革を旗印に、労働事件の早期解決と取扱い件数の増大を図るためにできた制度です。そのためには、手続きにおける国民の利便性こそ最優先にするべきだと思います。特定社労士への傍聴の許可や代理権付与についてすべての地裁で早急に認めてもらいたいものです。
原則3回で終了する制度ですから、証拠の後出しなど弁護士特有の訴訟テクニックは不要です。対決姿勢よりも互譲の精神があっせんや労働審判には重要であることを弁護士は理解しておく必要があります。ですから労働審判は、単に弁護士のみを関与させるのではなく、個別労働紛争あっせん制度と同様に裁判外紛争解決に特有の調停スキルを訓練された特定社労士が担っていけるようにすることが、国民の要望に叶っていると私は思います。
申立書がいかに争点整理して主張できているかと第1回期日における矛盾のない一貫した主張が勝敗を決します。第1回期日から早速和解を勧められることもあります。ですから、特定社会保険労務士が作成した労働局へのあっせん申請書や陳述書をベースに労働審判の申立書を作成すれば、相手方に何人の弁護士がつこうが、十分戦える制度です。
また、資金力でハンディのある労働者側が、弁護士を立てて臨んだ使用者側に気おくれすることなく対峙できるよう労働審判委員会が配慮してくれます。




